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ピアノの音が鳴り響いて、何処からか啜り泣きが聞こえて___。
この風景は、多分一般的な卒業式なんだろう。__けれど。
何故だか、私は泣けない。
悔し涙も嬉し涙も悲し涙も、はたまた気まぐれの涙さえも。
なんで私は、泣けないのだろう。
周りの友達、先生、親、他人。
「卒業式」。という名の舞台の上で、私だけが取り残されている。そう感じてしまうのは、きっと温度差のせいだ。
卒業式は別れを引き起こす、ドラマだ。
そんなドラマの中、一人だけ呆然と立ち尽くしている私の姿は、なんと滑稽だろう。
ピアノに合わせて声を重ねるその瞬間__
___
今という時が 永遠じゃなくても
羽ばたけるよ 私たちなら
そうだ笑おう そして歌おう
一緒に泣こうよ
そうしたら きっと
私たちは またここで巡り合えるから
___
卒業式までの間、ずぅっとずぅっと。長い間練習してきた歌だ。
あぁ。歌はずるいよ__
私の頬に、一筋の涙が流れた___。
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