友達

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私は今年の春、中学生になった。 ある意味、小学校の卒業式以上に緊張する中学校の入学式。 桜の花弁がひらひら舞い落ちていく姿は、凄く綺麗で。自分もあんな風になりたいと、本当に思った。 卒業式の前に買ってもらった、少しだけ背伸びしたワンピース。ひらひらと動く度に揺れて、憧れのお洒落さんに少しだけ近づけた気がする。 「 友達なんて、出来るかな……… 」 今漏らせば、なんとなく桜の花弁が香りと共に運んで行ってくれる気がして、そう思わず呟いていた。 お母さんが付いて来ると言ったのを止めてはみたけれど、来てもらえばよかった。 一人よりはずっと。気分が楽になるから。 ___楽しみだった筈の気持ちが、どんどん萎れていく。それはまるで、枯れた花の様に。 その時。 誰かの笑い声が聞こえた。
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