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境遇
それから、梨花ちゃんとはすぐに打ち解けた。明るくて、気兼ねなく悩みを話してくれる梨花ちゃんを、私は好きになって。
きっと…梨花ちゃんもだって。そう、勝手に考えてもいた。
でも………。
「 ねぇ…きょ、今日さ。放課後、一緒に遊ばない? 」
一週間経ったある日。勇気を出して、私は梨花ちゃんを遊びに誘った。暖かな日差しが昇る、よく晴れた日のことだった。
そう言った私を、梨花ちゃんは困ったように見、その後申し訳なさそうに笑った。
そんな梨花ちゃんの態度に、まさか…と、不安が襲ってくる。
「 あー。ごめん。今日、由美たんとゲーセン行く約束してるん。
ホント、ごめんね? 」
「 あっ………い、いいよ。気にしないで 」
__楽しんできて。そう言いたかったけれど、そこまで言う程私は優しい人間では、なかった。
( 別にいいじゃん。梨花ちゃんには、友達居るんだし )
そう。
心では、思っている筈なのに。
私は、結局梨花ちゃんと遊ばずに家へ帰った。
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