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「 エリ………私、どうしたら、よかったのかな… 」
花を花瓶に生けながら、アリシアはふと声を漏らす。それは、行き場の失った疑問と、己自身への怒りだった。
脳裏に浮かぶのは、レンの悲しそうに歪んだ顔で。
それで、そう、疑問が湧いた。
「 さぁ… 」
エリは、特に考える訳でもなく「淡々と」答えた。エリはAIだから、理解出来る筈が無いと、頭ではわかっていても、頼ってしまう。
それは、アリシアがエリを信頼している証だった。
「 私……レン君のこと、嫌いじゃないの。大好きだし、好きだって言って貰えるのは、凄く嬉しい。でもね、なんか…違う気がする。
レン君の成長が、私の宝物。笑顔も、泣き顔も、怒った顔だって………全部、全部。私の宝物。
可愛いし、格好いいとも思って…「 それってアリシア、キミはレンが好きってこと? 」……えっ 」
口を挟んだエリの言葉が、刃のようにアリシアを貫いた。胸がどくどくと鳴る。
エリが無表情のまま続ける。
「 だって…顔も成長も宝物で、レンのことを、大好き…なんだろ?それって、アリシアはレンのことが好きってことじゃ…「 ふざけないでっ! 」…… 」
「 アリ……シア? 」
そのまま、アリシアは家を飛び出していった。
__ぱらっ
花が、床に落ちた。
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