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レンがアリシアの隣の家に越して来たのは、3年程前からだ。レンの両親が一部人間に虐殺され、身寄りが居なくなったレンは空き家だった隣家に越して来た。
レンはアリシアに救われたのだ。
心からの笑顔に救われた。気付けば、何時もアリシアを見ていて。
…だから。
アリシアがエリを好きなんだということは、すぐに悟った。
レンと同じように、アリシアもエリの声、顔、行動に惚れていた。少しの気遣いで、胸が切なく熱く燃え上がるのだ。
この感覚は、レンもアリシアも共通していた。
「 アリシア…いつになったら、気付いてくれる? 」
エリとアリシアを見送った後、そうレンは虚空に向かって呟いた。誰も居ない内に、自分の思いを吐き出さないと。
そうしないと、自分が壊れてしまう気がしてきて堪らない。
「 なんで…なんで、僕を選んではくれない?こんなにも、想っているのに。
誰かじゃなくて、アリシア……君が好きなのに。本当は、『さん』なんて付けたくないし、敬語も嫌だよ。
好きで好きで堪らなくて。君の笑顔を、僕だけの物にしたい。
…そう思う僕は、我儘かな?
君の我慢している涙も、エリへの恋心も、殺人者への怒りだって。全部、全部。
僕は認めてあげるし、支えるよ。
だから…お願いだよ。
僕を、認めてよ 」
言い切った瞬間、背中が熱くなっていく…。レンは僅かに香るエリとアリシアの香りを肌に感じながら、涙を流した。
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