竹崎を殴る

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竹崎を殴る

竹崎を殴りたい。 初めてそう思ったのは高校3年の秋だった。 その頃おれには一年生の時から片思いしている相手がいた。ユリちゃんだ。 肩までの艶やかな黒髪、白い肌、笑うと垂れる丸い目。可愛かった。 そしてなによりユリちゃんは性格が良かった。みんなが嫌がる体育の後片付けを率先してやったし、他のみんながサボるようなトイレ掃除を一人でもきちんとこなした。 ユリちゃんは真面目で、パンツが見えそうなくらいに短く制服を改造した他の下品な女子とは全然違う存在だったのだ。 おれは受験が終わったらユリちゃんに告白しようと思っていた。三年間の気持ちを全部ユリちゃんにぶつけて、玉砕したらそれまでだと。 それなのに悲劇はおきた。 ユリちゃんが竹崎に告白したのだ。よりによって竹崎に。 竹崎はユリちゃんの告白にOKの返事をし、二人は付き合い始めた。 ユリちゃんは二年の秋くらいから竹崎を好きだったらしい。 体育祭の応援団で一緒になった頃だろう。おれが応援団に入ってさえいれば、ユリちゃんは竹崎ではなくおれを選んだかもしれないのに。おれは用具係を希望したことを激しく後悔した。     
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