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――22日21:30にバスタ新宿。日帰り夜行バスだから風呂すませてこいよ
日帰り。夜行バス。竹崎はおれをどこへ連れていこうというのだ。
で、行き先は?とおれは返信する。
――あと5万持って来い。現金で
誘拐そして恐喝まがいの竹崎からの誘い。
だからどこに行くんだよなんでそんなに金がいるんだよと何回か返信しても、竹崎はその全てを既読無視した。
高校を卒業してからおれは第一志望ではなかった大学へ行き、竹崎は就職した。
おれは大学で学ぶことの意味を見失い、一年持たずに中退してしまう。そのあと就職先をなんとか見つけ、卒業後初めての同窓会で三年ぶりに竹崎に会った。
竹崎は持ち前の器用さで職場では責任ある仕事を任され活躍しているらしかった。
それに比べておれは、仕方なく就職した会社で特にやりたかったわけでもない仕事をして日々を過ごしている。
同窓会で会ってからは男だけの数人でたまに飲みに行くようになった。主に彼女のいないやつらで集まる。その中に竹崎とおれは毎回いた。話すときもあったし話さないときもある。
時々ユリちゃんのことを思い出しては、酔っ払った弾みという言い訳で殴る機会を伺った。だが竹崎が先に酔うことはなかった。
これは良いチャンスかもしれない。
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