あいつと俺

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「今日は特別な日なんだ」  いきなりそう言われましても、私はあくまで猫のプログラミングをされているAI搭載のアンドロイド。そのようにお決めになるのはボス自身です。私に同意は求めないでいただけますか? 「それでもお前は俺の相棒だろ?」  そうお思いになるのはボスの自由です。愛玩動物の体裁は取っておりますが、はっきりいって私の毛並みは自慢でございます。だからと言って、むやみやたらにおさわりになるのはやめていただきたいのですが。 「猫は猫のままで、たまには撫でさせろ」  でしたら、私もボスと会話をしたり、助言をするのは致しかねます。本来の猫というモノになりきって私の思うままに動くことになりますがよろしいでしょうか? 「めんどくせぇ奴だな」  おほめいただき光栄でございます。猫モードにきりかえてもよろしいですか? 「俺がさみしいから待て待て……。見た目は全く猫とかわらないんだけどなお前は」  ボス、私の名前をお忘れですか?けっしてお前などという名前ではありません。年齢の割に脳の老化ということも考えられますが、チェック機能は私にはございません。一度検診を受けてみてはいかがでしょうか?
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