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双子
「みっちゃん。こんな所で寝ていたら風邪引くよ?」
誰かが僕の肩を優しく揺すり、微睡みに落ちていた僕を起こした。
この柔らかく丸みを帯びた声は、母さんでも、恋人の沙夜でもない。双子の姉の美星だ。
「……う~ん……姉ちゃん?」
「こんな所でよく寝られるね」
美星はフフッと笑い、そう言った。
こんな所……?
何だか背中やお尻が痛いなと感じて周囲を見回すと、石がごろごろ転がる川原に横たわっていることに気づいた。レジャーシートを敷いてはいるが、我ながらよくもこんな所で眠れていたものだ。
ああ、そうだ。ここは家の近所の川原だ。近くに民家の灯りがなくて車もほとんど通らないこの場所なら星がよく見えるという理由で、僕と美星は天体観測をしていたのだ。
美星という名前の影響か、美星は星が大好きで、晴れた夜はよくこうやって星空を眺めている。僕は星なんてあまり興味がないのだが、夜にひとけのない田舎の町を姉が一人でうろうろしているのが心配で、美星について来ているのだ。
「ごめん、寝ちゃってた……」
「いつもならもう寝ている時間だからね。そろそろ帰ろうか」
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