双子

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 美星は別に怒ったりせずにそう言い、立ち上がって「うーん」と声を上げながら伸びをした。 「いや、姉ちゃんがもっと星を見ていたいのなら……」 「無理しなくてもいいって。寝不足だと、明日の学校辛いでしょ」  美星はそう言いながらレジャーシートを片づけようとした。しかし、僕はシートの上にまたゴロリと寝転んだ。 「どうしたの? 帰るよ」 「まだ星を見ていようよ。少し寝たから目が冴えちゃって。家に帰っても眠れそうにないよ」 「そうなの?」 「うん。だから、姉ちゃんも寝転びなよ。ちょっと背中が痛いけれどさ」  美星は僕が「こうしたい」と言ったことは、「いいよ」といつも(うなず)いてくれる。逆に言うと、自分がやりたいと思っていることでも僕が嫌がりそうなことなら、美星はそれを諦めようとする。甘ったれな弟の面倒をずっと見てきた姉の癖なのだ。  小さい頃に比べたら、僕だって少し成長した。美星がもっと星を見たいと考えていることぐらい分かる。何でも弟優先で行動する美星にやりたいことをやってもらうためには、僕が美星のしたいことを自分のしたいことにするのが一番だ。ただし、勘のいい美星は僕の考えなんて簡単に見破り、 「みっちゃん、無理しているでしょ?」  と、言う時があるから油断できない。     
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