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今回に関しては本当に目が冴えてしまって、まだ家に帰りたくない気分だったのが幸いしたようだ。美星はしばらくの間、僕の顔を覗き込んでいたが、
「みっちゃんがそう言うのなら、そうしようかな」
と笑い、僕の右隣に体を横たえた。
「みっちゃん。星空はね、ギリシア神話の壮大な物語を楽しめるんだよ」
美星は、五角形に結ばれたケフェウス座、その近くのカシオペア座、秋の大四辺形の星の一つのアルフェラッツが頭の部分となるアンドロメダ座などを指差し、ケフェウス王とカシオペア王妃の間に生まれたアンドロメダがその美貌が災いして海の神ポセイドンの怒りを買い、化け鯨に食べられそうになったのだと語った。しかし、アンドロメダは運命の王子様ペルセウスに助けられて二人は結婚したそうだ。
「私にもペルセウスみたいな王子様が現れたらなぁ~」
星について語っている美星は生きいきとしていて、僕は星よりも美星の笑顔をじっと見ていた。
僕と美星の幼馴染である沙夜がいつか言っていたことを思い出す。
「美星はね、私にとって希望のお星様なの。たとえ辛いことがあっても、あの子の星みたいにキラキラと眩しい笑顔を見ると、心が救われるのよ」
キラキラの笑顔。
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