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さらに、光明が「自分が沙夜を苦しめてしまっている」と密かに自分を責めていることを察し、私は私で光明の苦悩の種に自分がなっていることに罪悪感を抱いていた。
私が最初に始めたことなのに、光明は全てが自分の責任のように考えていたのである。
(光明を助けるために始めたことが、結果的には光明を苦しめてしまった。このまま一緒にいたら、私は彼のことを傷つけ続けるだろう……)
別々の大学に進学したのを機に、私は光明と距離を置くようになった。光明も二人が一緒にいることはお互いにとって良くないと考えたのだろう。昔は週に一回はデートに私を誘っていたのが、月に一回、数か月に一回、半年に一回になっていった。
私たちの恋人関係は自然消滅へと向かっている……。
そんなのは絶対に嫌だと心の中で叫んでも、そのほうが光明のためになるのならばそうするべきなのではと、私はずっと悩み続けていた。
(答えが出ないまま、こんなことになってしまうなんて……。もう一度だけ、光明と向き合う時間が欲しい。美星、お願い……。どうか光明を……)
私は亡き親友にもう何十度目か分からない懇願を心の中でした。
そんな時――。
私のスマホが、鳴ったのである。
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