5人が本棚に入れています
本棚に追加
目覚め
僕が美星と別れを告げ、死の淵から脱して目を覚ました時、そばには母さんと父さんがいた。
「光明! ああ、良かった……良かった……。沙夜ちゃんの言う通りだったわ。美星が守ってくれたのね!」
母さんは僕の手を強く握りしめて嗚咽した。その横では父さんが肩を震わせ、無言で涙を流している。
父さんが泣く姿なんて初めて見た。美星が死んだ時も泣いていたのかも知れないけれど、あの頃のことは美星を失ったショックのせいでほとんど覚えていないのだ。
美星は生前から僕と父さんの仲を心配していた。僕の命を助けてくれた美星のためにも、これからは父さんともちゃんと向き合わないと……。
「母さん、心配をかけてごめん。……父さん、見守っていてくれて、ありがとう」
僕は、掠れた声で両親に礼を言った。
僕は病院の個室のベッドに寝かされているようで、部屋の窓からは星々が僕を見下ろしていた。僕が生死をさ迷っている間に雪が降っていたのか、窓ガラスに雪の結晶がはりついている。
「そうだ、愛美。ナースコールを。光明が目覚めたことを知らせないと。それから、沙夜さんと柊くんにも連絡してあげなくては」
「え、ええ。そうね」
最初のコメントを投稿しよう!