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「美星さんが光明くんのことを必ず守るから大丈夫だって、山本さんがみんなを励ましていたんだよ」
「そうか。沙夜が……」
さすがは美星の親友だ。誰よりも美星のことを理解している。
美星は沙夜を信頼し、家族の色んな悩みを打ち明けていたのだろう。そして、美星の悩みを聞いていたからこそ、沙夜は僕や両親のことを本当の家族のように心配してくれていたのだ。
「なあ、薫。僕は眠っている間に夢を見ていたんだ。姉ちゃんが生きていた頃の夢を。その夢で、お前と会った。姉ちゃんが、星が好きな男の子といつも会っていた図書館で、ばったり会ったんだ。もしかして、薫は姉ちゃんと生前に……」
「ばったり会った」のではなく、あれは美星が、僕に偽りの夢の矛盾を気づかせるため、中学時代には面識がなかった薫と故意に遭遇させたのだろう。でも、そんなことを薫に言っても理解できないだろうから、僕はただの夢として語った。
薫は僕の話に非常に驚いた様子で、目を大きく見開いた。
「それは不思議な夢だね。……たぶん、君のお姉さんと会っていた男子というのは、僕だと思う。僕は、美星さんと中学時代に出会っていたんだ。……今まで黙っていてごめん」
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