私を呼ぶ本

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物語に浸る喜びを知ると、その物語が素晴らしければ素晴らしいほど、終わりを迎えるのが惜しくなる。 私は残り数ページを、読まずにカバンへ直した。 この楽しみを、取っておきたかった。 あと数ページあると思うと、仕事を頑張れそうな気がした。 会社のある駅に着き、黄金の穂をかきわけ、電車を降りる。 「私は自分を生み出した世界を、もう一度この目で見たいの。だからこそ、今があるから」 彼女の台詞を胸に。
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