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先輩との出会い
今日は特別な日だ。
高校の登校初日、多くの学生がさぞウキウキとした気分で登校していくのだろう。でも、俺は違う。俺は、中学最後の修学旅行でドジしちまって小学校の頃からしていた好きなサッカーができなくなっちまった。高校に行くのは何もスポーツやクラブのためだけじゃない、そんなことは分かっている。だが、俺にとって、この左足の怪我は生きている限り永遠とつきまとう憂鬱だった。
「……何落ち込んでんだ、俺、考えるよりも動け」
頬を叩いて、三川学園という校章が入っている新しい学生服に着替え、二階の自室から一階に降りる。一階のリビングにはもう起きている妹の雫と母が朝飯を食べていた。
「にぃに、おっそーいのだ」
「まだ7時にもなってねぇよ、ぜんぜん大丈夫だ」
「コーヒー淹れるわね」
「ありがと、母さん」
「父さんはもう出勤してんのか?」
「お父さんは会社にお泊りよ」
「はぁ~、大変だなぁー」
「何言ってるの、あなたも今日から高校で忙しくなるわよ、ちゃんと勉強して、良い大学に」
「んもごもご……わぁってるよ、ごうちそうさまー」
「にぃに、はやーいのだ」
「いってきまーす」
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