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俺は鞄を持ってバタバタと出て行く。
「まぁ、落ち着きのないこと、誰に似たのかしら……?」
「かあさま、おかわりー」
「よく食べましたー、えらいわね」
* * *
家を出ると隣で同級生の野咲 春海が二階の窓から声をかけてきた。
「総ちゃん、もういっちゃうの?」
「……おぉ、おう」
顔も向けずぶっきらぼうに答えた。
「もう中学生じゃないんだ、これからはべつべつでいいだろ、じゃあな」
そういって歩きだす。
「総ちゃんっ!」
二階から乗り出し気味に見てきた春海を背中越しに気づいていたが。春海と一緒に登校する気にはなれなかった。足が春だというのに風で冷え込んで来る感じがした。
それから三川学園についた。桜が目立つ。春爛漫という感じだ。朝早く来たせいか生徒たちは数えるほどしかいない、ただ部員の募集だろう、プラカードか? 複数置いてあるのが気になったが俺には関係のない話だ。この際、文化部にでも入ってもいいのだが気乗りもしない。勉強して家で寝る、それだけで十分だな。
伏目がちに校内を進む。
「ん?」
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