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メガネは返してあげた、彼女はホッとした様子でそれをかける。
二人で食卓の準備を始める。
あーなんか……。
「新鮮でいいですね、初めて二人でこんな風に。」
テーブルを布巾で拭きながら言うと、料理を取り分けていた彼女の手が止まった。
恥ずかしそうに真っ赤になって、あーかわいっ。
彼女がカウンターに次々器を並べる、俺はそれをテーブルに置くのだが。
いたずら心で。
小鉢を置いた彼女の左手首を掴んだ、彼女が悲鳴を飲み込んで手を引っ込めようとするけれど、勿論簡単そんな事させやしない。
「なんですか……っ!」
上目遣いのその瞳は、レンズから外れて本来の可愛らしさを見せる。
俺は笑った、彼女には見えていないんだろうな。
俺を拒否するように引っ込めかけた状態のその手の平に、俺はキスをした。
「~~~~~!!!」
彼女の声にならない悲鳴を聞いた。
俺が手を離すと、彼女は自分の手を取り返すように引っ込める、いいなあ、可愛い反応。
「鷹栖さん!」
耳も首までも真っ赤にして、彼女は怒鳴る。
「て、手の平にキスなんて……!」
「いきなり唇って訳にはいかないでしょう?」
「当たり前です!」
あ、でも、拭いたりはしないんだ、手をぎゅっと握り締めてる。
「済みません、可愛い手だったので、つい。」
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