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「今までのお家賃はお返しします!」
へ?
「だから……今すぐ出て行ってください……!」
そりゃないぜ、頭金もないからと粘ろうとした俺の作戦が。
つまり彼女は本当にはお金に困ってないから、俺が家賃として支払った金は手付かずで残してあるってことか……なのになんで同居なんか?
「──判りました。」
俺は普通のトーンで言った、ドアの向こうには聞こえていないであろう声で。
そしてノブに手をかけ、一気に開けた、ドアは内開きだ、全開にすると彼女はドアに手でも掛けていたのか、両手を顔の辺りに上げた姿勢で立っていた。
「な……。」
「な……っ。」
二人の声が重なった。
「なんだ、そのメガネーっ!」
俺は吹き出してしまった。
「だから見ないでって言ったのにーっ!」
彼女は両手で顔をすっぽり覆った。
それでも手からはみ出しているメガネはかなり分厚いレンズなのが判る。さっきは絶世の美女だったのに、今はギャグ漫画のキャラクターのように小さな顔の中に大き過ぎる目がぎょろりとしていた。
それを見られたくないのだろう、両手で隠してしまっている。
「ご、ごめん……ちょっと衝撃ありすぎて……ごめん、笑った訳じゃないから……。」
うう、やばい、声も肩も震える……踏ん張れ、彼女は傷付いてる!
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