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草村の話が終わると、部屋の中が重苦しい空気になった。そして、その重苦しい空気をはね除けるように口を開いたのは、また草村だった。
「と、言うのはジョーダンだがな。」
「え!?」
「え?」
「え?!」
「え~??」
全員、一斉に草村を見た。
「ジョーダンって、どこからどこまでが作り話なんだ?まさか全部って事はないよな?」
風見が睨むように草村を見た。
「アハハ、まさか~、いくら私でも、こんな面白い話を思いつかないぞ。
あっという間に広がって、あっという間に間違いに気付いたまでは本当だ。でも間違いだからといって、誰も大川君を責めたりはしなかった。まあ、からかう奴は居たみたいだかな。でも逆に、大川君的イニシャルが面白いと、学校中で流行ったんだ。
それで大川君は、一躍ヒーローになったとさ。」
「それから?それから?」
憂樹が夢中になって聞いてきた。
「それからは学校で大川君の名前を知らない生徒は居ないぐらい人気者になったそうじゃ…………
と、言いたい所だが、実は大川君、4年生になる前に父親の仕事の都合で転校してしまったんだ。それからは私の母親も何十年も会ってなかったんだと。」
草村は風見をチラッ見て話を終えた。
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