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「ああ、今回は風見にぜひやって欲しい。というより、お前しか男は居ないだろ。」
「氷河がいるじゃんかよ。 」
「氷河にはやって欲しい役があるからな。それに運命にはさからえないんだ。」
すると突然、憂樹が笑いだし、
「アハハ、草村さんでもミスするんだ。ほら、このプリント何にも書いてな~い。」
そう言うと、友生の顔の前で、プリントをペラペラさせた。
「あれ、あたしのも書いてないよ。」
香もプリントを清美に見せて言った。もちろん、全員のプリントにも「マル秘」の文字しか書いていなかった。
風見は、草村を睨み付け、
「お前、まさか、まだほとんど何も決まってないんじゃないか?」
「何言ってる、ちゃんと〔マル秘〕って書いてるだろ。〔マル秘〕って事は秘密ってことだ。お前がヒーローって事だけは確定してるんだが、あとは現地に行ってみないとイメージが湧かないというか、だいたいストーリーは頭の中にあるから、撮影のたびに言うよ。
まあ、香港方式ってやつだ。」
すると友生が何かを思い出したように、
「あ!それ聞いたことある。映画をパクられないように、台本を作らず監督が撮影の度に台詞を教えるんでしょ。」
「お前の台本は、誰もパクらねえよ。」
風見が草村に、あきれ顔で言った。
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