0人が本棚に入れています
本棚に追加
「水川さんも、ようやく肩の力が抜けてきたね。これは次のテスト、ひょっとしたらひょっとするかも。」
その会話を聞いていた憂樹が突然、
「いや~!!テストの話、嫌ぁ~!!!」
大声で叫び出した。
「どう、どう、どう、」
友生が馬でもなだめるかのように、憂樹の頭をポンポンポンとなでた。
すると草村が、
「コホン、で?どこまで話したっけ?」
「主人公にモデルが居たってところから。」
すぐに清美が答えた。
「ああ、そうだった。その主人公のモデルになった人物も母親たちの同級生なんだ。この話を母親から聞いた時は、世の中には面白い奴がいるもんだと、感心したぐらいなんだ。」
「草村を感心か、すごいなそいつ。」
風見が笑いながら言った。
草村は「コホン」と咳払いをひとつし、話を始めた。
「むかし、あるところにな…… ちょっと違うか。」
そうつぶやくと、今度は〔まんが日本昔話〕風に、
「むかし、むかし、あるところに、二人の可愛いおんなの子がいたそうじゃ。」
「アハハ、なにそれ?上手い上手い。」
憂樹が手を叩いて喜んだ。
風見は呆れたように、
「はい、はい、お前と緑先輩のお母さんな。」
草村は何事もなかったように話を続けた。
「そして、その二人のおんなの子の友達に、自分の事を「帝王」と呼ぶ男の子がおりました。
最初のコメントを投稿しよう!