第2話〔ヒーローと岡山弁〕

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「水川さんも、ようやく肩の力が抜けてきたね。これは次のテスト、ひょっとしたらひょっとするかも。」 その会話を聞いていた憂樹が突然、 「いや~!!テストの話、嫌ぁ~!!!」 大声で叫び出した。 「どう、どう、どう、」 友生が馬でもなだめるかのように、憂樹の頭をポンポンポンとなでた。 すると草村が、 「コホン、で?どこまで話したっけ?」 「主人公にモデルが居たってところから。」 すぐに清美が答えた。 「ああ、そうだった。その主人公のモデルになった人物も母親たちの同級生なんだ。この話を母親から聞いた時は、世の中には面白い奴がいるもんだと、感心したぐらいなんだ。」 「草村を感心か、すごいなそいつ。」 風見が笑いながら言った。 草村は「コホン」と咳払いをひとつし、話を始めた。 「むかし、あるところにな…… ちょっと違うか。」 そうつぶやくと、今度は〔まんが日本昔話〕風に、 「むかし、むかし、あるところに、二人の可愛いおんなの子がいたそうじゃ。」 「アハハ、なにそれ?上手い上手い。」 憂樹が手を叩いて喜んだ。 風見は呆れたように、 「はい、はい、お前と緑先輩のお母さんな。」 草村は何事もなかったように話を続けた。 「そして、その二人のおんなの子の友達に、自分の事を「帝王」と呼ぶ男の子がおりました。
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