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湿度も気温も申し分ない。ここはすでに飽和状態で、今もつぎつぎと、仲間たちが落ちていく。
昨夜はやけに外周が騒がしかった。どうやら、落ちる順番でもめたらしい。
「ばかばかしい。先に落ちても後から落ちても、どうせ春になったらみんな消滅するというのに」
そうつぶやいてダイブした。下界には、いちめん真っ白につつまれた街が広がっていた。
いずれ自分も消滅する――――落ちゆく時は、そう思っていた。
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