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「おー検察まで巻き込んじゃってんの。麻木くんが女子ならモテモテちゃんだな」
「いや、女子じゃなくて男子だからまずいんじゃないですか?」
「でも志賀くんや長篠くんが男好きってわけじゃないでしょ」
「志賀くんは情報集めてるだけだろうね。上田くんにも近づくくらいだし」
意外にも志賀が麻木に接触していてもあまり疑われていないのでほっとした。そうか、こういう時あの神出鬼没の情報収集癖が功を奏しているわけだ。多くの人間と接触があるから、麻木が特別だと思われにくい。
「元々八奈見の周りもうろついてたしな。長篠くんはでもそういうタイプじゃないだろ」
「八奈見くんは何か知ってる?」
知っています。
と言えるわけがない。問いかけられたが恍けるしかなかった。
自分のことならまだしも、麻木や志賀について勝手に口外するわけにはいかない。
「いいえ。志賀の考えていることはさっぱりわからないし、長篠くんのこともよく知らないので」
そりゃそうだ、というふうに流してくれたので助かった。
そこで執務室のドアががちゃっと開いたので、びくりとして全員がそちらを見ると、
「どうかしましたか?」
無表情ながらきょとんとした様子の麻木がそこにいた。会話を聞かれていないようで良かった、と全員が胸を撫で下ろしていた。
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