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タキオンの灯りの中、ゆっくりとした動作で蠢いている者たちがいた。
ザク、ザク、と一定間隔で音を立て、土を掘っている。
黒ずんだ肌の、異臭を放つ男たちだった。
上半身は裸。
汚れたズボンだけを無造作に身につけ、土の上にもかかわらず裸足だ。
どの者も逞しく筋肉質だが、動きは鈍く、ぎこちなかった。
腕を大きく動かしているが、腕の他の部位は一切動かない。
それが酷く不自然な印象を与えていた。
普通の人間であれば、どこかを動かせば、身体の他のパーツも連動し動くものだ。
彼らはただ機械的に、野太い腕のみを左右に動かしていた。
表情は無かった。
無表情というのとは違う。
表情を付けるという機能が既に失われているのだ。
脳の構造も、それを伝える神経も、もはや腐り落ちて存在しないのだ。
顔に残った黒ずんだ筋肉や皮膚は、ただ頭蓋骨を覆っているだけのものでしかなく、生前の生き生きと動いていたときの姿は想像しにくい。
ハーヴェルが傍まで来たことに頓着することもなく、ひたすら男達は作業を続けていた。
眉の下の窪んだ箇所にある眼球は、既に乾いて白く濁り、物を映す機能は無いはずだ。
いつも思っていたんだが、とハーヴェルはまじまじと見た。
どうやって物を見ているんだかな。
研究者としての興味が少々湧いた。
だが、辺りにプンプンと漂う、腐乱しかけた肉体の匂いと、男たちにこの作業をさせている人物への嫌悪感の方が勝った。
さてと、という感じに一息つくと、一番手近にいた男を足蹴にした。
「終いにしろ、馬鹿野郎」
足蹴にされた男は、身を守るための仕草を一切せず、地面に倒れた。
傾けられた木人形が、重力のまま床に落ちるときのように、ゴトン、と土の上に転がった。
腹部に溜まっていた腐汁が、身体が傾くのに合わせ、たぽん、と腹の中を移動する。
倒れてもなお、土の上で腹這いになって腕だけを左右に動かそうともがいていた。
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