第二章、現在

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第二章、現在

例年よりだいぶ早く咲き始めた桜が季節感を狂わせる 僕はいつもの様に教室から窓の外の桜を眺めていた グラウンドへ一匹の犬が迷い込んでやってきた ひとりのクラスメイトがそれに気づき教室は騒然となり犬が皆の注目を集めだした …向こうに…誰かいる… 周りを見渡すと僕以外、誰もあの男に気づいていない… 僕は教室を抜け出した 桜の木に隠れる様に身を潜めている男の後ろ姿にそっと近づき話しかけた 「そこでなにしてるの?」 飛び上がらんばかりに男は驚き、とっさに僕の口をふさいできた 「お前、1人か?」 コクリと頷くと安心した様で安堵の顔を浮かべた 「探し物をしている…」 物憂げに男はポツリとつぶやいた 遠くにあるグラウンドを見ると、警備員がさっきの犬を捕まえようと追っかけている 「ここにいたらすぐ見つかるよ…しばらく外にでた方が良い」 自分でも明らかに怪しい男になぜそう言ったのかわからない… 怪しい男の名は斉藤と言った 「日曜なのになぜ今日学校なんだ」 自分が何をしていたかは棚に上げ聞いてきたので、僕は意地悪く聞き返した 「なぜだと思う?」 「…まぁそんな事はどうでも良いか…結局見つからなかったし…クソっ困った!」 聞いときながら心ここにあらずで早口でまくし立てる 「写生大会」 僕が答えるとゆっくり振り向き 「なんだって?」 と斉藤は目を大きく見開いた 「誰かが先に見つけちまうじゃね~か!!」 困り果て半泣きの斉藤の姿が妙に滑稽で僕は思わず笑ってしまった なので自分から言うまでは聞くまいと思っていた事をつい聞いてみた 「なにを探しているの?」
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