4人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「結婚すべきか? せざるべきか?」
王子は迷っていた。
確かにシンデレラは美しかった。
パーティで出会った瞬間、好きになって、ガラスの靴を頼りに彼女を探し出して城に連れて来た。
結婚して幸せな生活を送れると思っていた。
しかし、問題が3つあった。
まずは身分の違い。
シンデレラは貧乏な庶民の出身で、明らかに王家とは不釣り合いだ。
王子の母親である女王も反対している。
だが、そんなものは愛があれば乗り越えられる。
ふたつめは結婚すれば、もれなく、どうしようもないふたりの姉がついてくること。
王家の親戚になれたことで、姉たちはさらにぜいたくな生活を要求してくるに違いない。
現に今も
「王子様~、結婚式に着るドレスを買ってもよろしいでしょうか?」
「王家の親戚にふさわしい女性になるためにダイヤのネックレスが必要だと思いますの」
などと言っている。
だが、これもたいした問題ではない。
誰か適当な貴族の男と結婚させて城から追い出してしまえば済む話だ。
姉たちはそれなりに容姿がいいから、ダマされる男はかなりいるだろう。
一番の問題は、シンデレラ本人のことだ。
王子はため息をつく。
「シンデレラって普段はメチャクチャ可愛いんだけどなぁ。
でも12時を過ぎると、途端に地味な女の子になってしまう。
魔法使いに〈美人になる魔法〉をかけてもらったって言ってたけど、あれは詐欺だよなぁ。僕はあのパーティの可愛らしいシンデレラを好きになったわけだし。
いや、別に12時を過ぎたシンデレラも可愛くないわけじゃないんだよ。
でもフツー過ぎる。メイド服を着て立ってたら絶対にメイドだと間違える」
最初のコメントを投稿しよう!