i v capretto

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「保護者の方がいらしたなら、早々に連れ帰って欲しいんですけど」  わざと他人行儀に言う。  カルロはうーん、と唸って少年を見た。 「保護者ではないよね」 「保護者ってなに?」 「混乱させると悪いけど、レオナルドの方が年上だから」  カルロは少年を指し示した。 「レオナルドっていうの?」  マルガリータは視線を横に流した。  あれ?   どこかで聞いたような。 「で、これは、マル何とかなの? それともガリーなの?」  少年はマルガリータを見た。 「マルガリータよ」 「ガリーだよ」  マルガリータとカルロは同時に言った。  マルガリータはカルロを軽く睨むように見ると、手を組み直し、改めて言った。 「マルガリータよ」 「略称が、ガリーね」  カルロは言った。 「僕の持ってくるお菓子に文句言いたいのは、こいつでいいの?」  レオナルドは、マルガリータを指差した。 「お菓子?」  マルガリータは記憶を探った。 「あ」  小さく声を上げた。  確か、カルロたち兄弟の所に、しょっちゅう甘ったるいお菓子を持って来る人物の名前がそんなだったような。 「そうそう。いつも女の子好みの甘ったるいお菓子持ってくるレオナルド」  マルガリータの表情を察したのかカルロが言った。 「な、何でここに」 「お菓子の文句を直接言いたいらしい人がいると言ったら、じゃあ直接聞いてくるって」 「……なに余計なことを言ってるんですか」  マルガリータは、軽く眉を寄せた。  カルロはマルガリータに顔を寄せ、小声で言った。 「この前も言ったじゃないか。僕たちじゃ言いにくいんだ」  マルガリータも、こそっと言った。 「なぜ言えないの。年上だから? 怪物(モストロ)にも、年功序列みたいなものがあるの?」 「いや、単にあの雰囲気」  カルロは言った。 「ねえねえ、ああいうの、美味しいでしょ? 好きでしょ? 嫌な人いる訳ないでしょ?」  レオナルドは言った。  無邪気な表情に、マルガリータも圧された。 「え、えっと。わたしは元々嫌いでは……」 「ガリー……」 「あの、後日ではだめなの?」  マルガリータは言った。 「レオナルドだけならまだともかく、私室に男性がいるのは、見つかったら問題どころじゃないわ」  カルロはぽかんとした。 「レオナルドの匂いがしたから入ってみたんだけど……ここガリーの私室なの?」  カルロは部屋を見回した。  
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