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「私は人族ですが、人族の有利になる交渉をするつもりは有りません、あまり気を抜かれないよう、お気を付け下さい」
そう笑顔で告げてやれば、王国側はそろってごくりと息を飲んだ。
「こちらからの要求は依然手紙にも書いたとおり、鉱石輸入、人員の補給、ギルドの建設、この3つです」
3人、表情に変化が見られた。
恐らく大臣とこの国のギルド長と町長、いや市長と言うべきか?
「鉱石に関しては鉄、ミスリル、アダマンタイト、人員は男性、ギルドの建設については建物はこちらで準備するので、職員を何人か派遣していただきたい」
「ふむ・・・見返りは有るのだろうか?」
「先ほどあげた3つの鉱石は我々の国では手に入り難い物でしてね、他の鉱石ならごまんと採取できるのですよ、金、銀、銅、オリハルコン、その他は宝石関係ですが、これを格安でお譲りしましょう」
「ふむ・・・こちらでは希少な鉱石だな・・・」
「人員に関しては、正直、返して頂けるのならそれで構わないのですよ」
場がしんと静まり返った。
「見目麗しい子供が欲しいと言う理由で、攫った男達を返してもらえれば、正直人員の補給は取り下げても構わない」
青い顔をする大臣や市長を見た後、国王に視線を戻す。
「攫われたと言う証拠でもあるのかね?」
「証拠は有りませんよ。ただ、昨日、一昨日とこの街を回って副数人のエルフの気配を感じましたのでね、恐らく居るのでしょうね、攫われて来たのか、自らここを訪れて居付いたのかは知りませんが」
「・・・」
「・・・」
黙って睨みつけてくる国王に笑顔を返した。
「そちらが男性を送ってくると言うのなら、彼らの事は見逃しましょう」
「まだ若いと思って見誤っていたようだ、無礼を詫びよう」
「そのまま見誤っていてくれた方が、こちらとしては特になる商談ができたのですが、貴殿は中々頭が切れるようだ」
「ふっ」
国王は短く笑うと背もたれに背中を預けた。
「解った、鉱石の輸出も輸入も許可しよう、男性もエルフの国に送る事にする」
そう告げて、国王はまた机に肘を付いてこちらに視線を向けて来た。
「して、ギルドの建設の目的は何だ?」
「私も国王の身でありながら、冒険者と言う物にあこがれておりましてね、現在失職して悩むエルフ達を引き連れて冒険でもしたいと、そう言う事です」
「食えぬ男よ・・・」
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