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「思い当たる節がある様ですね」
「まぁな・・・」
国王が深く溜息を吐いた。
「両親共にそれほど美系ではない家計に、突如として凄い美系の子が生まれる家が多数存在している。なぁ?市長、大臣」
二人がギクリと肩を震わせた。
後ろの嫁達が軽く殺気立つのが解った。
「よせお前ら、この場では見逃してやれ」
「だけど・・・」
「ここは交渉の場だ、復讐と殺戮の場じゃない」
嫁達の殺気が収まるのを確認して、大臣と市長に視線を向ける。
「あまりこう言う事は言いたくは有りませんが、彼らを開放していただけないのであれば、今後の夜道には気を付けて下さい、この国にもエルフが出入する様になりますからね」
「お、脅しをかけるつもりですかな?」
「いえ、ただの忠告ですよ、心当たりが無いのであれば無視してくれて構いません」
視線を国王に戻す。
「頭の痛くなるような案件かもしれませんが、上手く解決できる事を祈っていますよ」
「大臣や市長は国が守らんでも、自分達でどうにかできるだろう、それよりタカヤ殿、昼食を用意させたのだが、どうだね?」
「頂きましょう」
その後、昼食をごちそうになり、人族の国を出た。
「いつの間にテーブルマナーなど覚えたのだ?」
「俺の居た国じゃ別に珍しい事じゃなかったからな、ちょっと高級なレストランに行けばそんな知識も必要だったってだけ」
「タカヤの裏切り者ぉ・・・」
他の奴等とは育ちが違うエルマだけがマナーを知らず、一人であたふたしていた。
「お前も城に住んでいるんだから、マナーを覚える機会位いくらでもあっただろ」
アリーやフィルも里の中とは言え上流階級のお嬢様であり、ティアに至っては普通に女王であるが、エルマの家は普通の家だった。
そんな事を話していた所為か、目の前に男の人が飛び出してきた事に気が付かず、思いっきり撥ねてしまった。
一応ブレーキは踏んだが、砂地で滑った車は止まらず、ほぼほぼスピードを落とせずにぶつかった、多分死なないまでも大けがは免れないだろう。
無免許運転は良くない。
倒れた男に近寄って見ると、如何にも盗賊ですと言った風体だった。
薄汚く汚れたシャツを着て、革の鎧を着け、腰には剣を佩いていた。
「何だ盗賊か」
ティアがフンと鼻を鳴らして、男を道のわきに退けた。
蹴られた男はうっと呻いて、こちらに手を伸ばしていた。
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