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試しに一つ、農業を娯楽にして見た。
内容は作物の収穫体験。
参加者には収穫した作物をいくらか分けるサービスも付いてくる。
参加料は1回500ジース。
参加する年齢は問わないが、子供は大人が同伴する決まりだ。
「盛況だな」
「まあな、500ジースで採れたての好きな作物が貰えるなら、普通に食い付くと思った」
実験用の施設を置いた里の財源が2倍になった、むしろ作物より、金額での納税を申し出てくる里も、出てきそうだな。
「しかしこれでは、税収率が下がってしまうのではないか?」
「頭の良い奴なら、ここで多分気が付く事が出来るんだ」
「む?」
「客が飽きてしまった後の収入は、販売と国からの予算しかないだろ?」
「!」
「気が付いたか?客がいつ来なくなるか解らない状況にあって、税を納めないリスク」
そう、明日から唐突に客足が遠のくかも知れないのだ。
それに気が付いて逸早く、国税を納める奴こそ、里長に相応しいだろう。
そしてやはり第一号は俺の故郷の里だった。
「陛下も中々やりますな」
「長老こそ、良くこちらの狙いに気が付いたな」
「私はただ税を納めると言う理由で、孫に会いに来ただけですよ」
お互いにふっと笑って、長老を子供達の所へ案内させる。
「それに、税と言うのは納めるのが当たり前だと、陛下が仰ったのですよ?」
「そうか、忘れていなかったか」
温泉を作った時の事、3割を税金として納めると言ったら、そんな物は必要ないと突っぱねられたが、これは納めるのが当たり前の金であり、これでも格安なのだと説明した。
「それでは、私はそろそろ孫の元へ行きますので」
「存分に楽しんで行ってくれ」
長老を見送ると、検品をして来たエルマが書類を渡して来た。
「全部高品質よ、魚介類も木箱の中に氷を詰めて持ってきたみたい」
「御苦労さま、座るか?」
「幾らなんでも玉座には座れないわよ」
正確には玉座に座った国王陛下の膝の上だが。
書類に目を通してエルマに返す。
「アリーの所に持って行って帳簿を作らせてくれ」
「はい」
計算の得意な奴が居なかったのだ。
里の学校でも、もう少しまともに読み書きと算術位は教えるぞ?
数字の書き間違いや、計算ミスが多くて話にならなかった。
損失しか生まないなら、居ない方がましなのだ。
「良く今まで国が潰れ無かったな」
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