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でも、そんなの気にしない。
この人の凶悪なカオなんて、とっくに見慣れてるし。
ぜーんぜん、怖くない。
それに、チカは怒ってるんだからね!
店内のレトロな雰囲気にも、オルゴールのクラシック曲にもまるでそぐわない、どこか色めいた危険な印象の男。
大好きな相手に向けて、ビシッと指を突きつけた。
「開店祝いのワイン持ってきたのに、寒いからって開けて飲んでそのまま寝ちゃったとか、馬鹿なの?
せめて唇くらい拭いてよ!
赤ワインだから、口から血が垂れてるって勘違いして危うく救急車呼ぶとこだったでしょ!
そもそも、徹夜明けで早朝に来るからじゃん。凍死したらどうすんの?
世の中にはね、開店時間ってもんがあるんだよ! いっちゃん、マジ馬鹿なのっ?」
頭の上から小麦粉をぶっかけてやりたいくらいの勢いで、叱りつけた。
この人の艶々の黒髪の手触りが大好きだから、実際には絶対にしないけどね。
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