賞味期限切れてるけど

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 白く曇るため息を見ていると、パソコンのメールが届いた。  見島のところとは別の編集部からだ。開くと原稿の依頼で、だが「仕事が来た!」と素直に喜べなかった。  無駄に長い挨拶を省いて、つづめると二行になる。 『四ページ分の読み切り四コマ。  〆切は三日後。』 「完っ全に穴埋めじゃねーか!」  パソコンを殴りたくなった。ココはちょいちょい仕事を回してくれるが、いつもこんな感じだ。  最初は園美も気合いを入れて、少ないページでも読者の心に残るものをと思ったのだが、「あ、そういうのいいです」とあっさり切り捨てられて描き直しを要求された。  この会社が、広大な出版業界の片隅にはびこる『ごく一部のタチの悪い取引先』だということは重々承知していた。  だが背に腹は代えられない。選べるほど仕事が来ない。  了承の返信をして、園美はネタ帳を開き、頭の中で構成を練りだした。  窓の外は雪が降り始めていた。
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