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「今日どーすっかなー」
予定がぽっかりと空いてしまった。
「掃除……」
室内を見渡す。本類と下書きの紙、脱ぎっぱなしの衣類や郵便物で畳が埋め尽くされている。何ゆえ原稿しただけで部屋がこんなに散らかるのか。毎回理解に苦しむ。
「寒いからやりたくねーなー」
足で荷物を除けて、獣道を作ってコタツに戻る。天板も画材その他で埋まっていた。
ふと、『新作の企画作成』という『やるべきこと』が浮かんだ。
「……」
園美にとってそれは最優先事項だ。これからも漫画家を続けたいのであれば。
「……やりたくねーなー……」
突っ伏して、独りごちる。
こないだボツにされた新作漫画の企画案がいやでも浮かぶ。
今度こそ絶対通るために、最近の流行りや傾向を研究して、舞台設定のために小難しい資料を読み漁り、キャラクターのデザインも練りに練って、第一話のネームと共に提出して、通った時のために五話分のネームも用意して……とにかく時間がかかった。
あれ以上のものを作らないといけない。
そう思うと、うまく心も身体も機能しない。
……この妙な倦怠感は、やる気とか気力とかの次元じゃない。そんな気がした。
「ハラ減った……」
腹が減っては何とやら。まずは食事にしよう。
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