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第4話
衝撃の事実を手紙で知ってからというもの。
私は最悪の事態――彼が山賊に襲われて、このまま帰らぬ人になったらどうしようということ――を考えてしまい、その度に絶望していた。
しかしある日、メイドが私に言った。
「待っているだけではお嬢様らしくないですわ!何があっても常に動くのがお嬢様でしょう!一国の王女らしからぬ、いつものうるさ……元気がありすぎるくらいがお嬢様らしいのに!」
一瞬悪口が聞こえた気がしたが気のせいだ、きっと。そういうことにしておこう。
とにかく。
この一言で私は、途端に目の前の霧が晴れたような心地になった。
このままじっとしているのは、確かに私らしくない!
こんな考えに至った私は、必死に考えを巡らす。どうすればいい?どうしたら、彼を救える?
そして考え始めて2時間。私は考えをまとめた。
「彼のところに行きます!人を出してください!」
屋敷中のメイドや騎士はわぁっ!と湧き上がった。――「さすがお嬢様!」という声から「まーた始まったよ……ま、しおらしいお嬢ってのもなんか背中がむずむずするから嫌なんだけどな」という無礼な声を上げた者までいたが、とにかく皆乗り気だった――結構な大所帯でディールに向かうことになった。
この国からディールに向かうには、国境にある門を通り、そのまま一本道を進む。それ以外の方法はない。
ならばその道のどこかで彼らの馬車に出会えるはずだ。
もし誰とも会わずにディールに辿り着いてしまったら?もし彼らの馬車に出会えても中に人がいなかったら?
そんな悪い状況が目に浮かび、しかし私はそれを否定した。
彼なら大丈夫だ、自分にそう言い聞かせることで騒ぐ心を落ち着かせた。
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