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「俺、ディールの国民に貴女と結婚する……というか、婚約者になることを猛反対されてたんですよ」
「え、えぇ……それがどうかしたの?」
と問えば彼は実に気まずそうな苦笑を浮かべ、
「もしかしたら、俺たちが結婚式を挙げたので今頃あっちは大変なことになってるかもしれません」
と答えた。
それは大変なことだ。だが……
「私とククリには特に関係のない話なの?」
そう、これが一番大事なことだ。
私とククリに何か関係がある話なのか、そうでもないのか。
彼の表情を見る限り、何かしら関係がありそうだが……
「俺はこれから一旦ディールに帰らねばなりません。俺の父……まぁ、国王直々にお達しが来たので断るわけにもいかず……貴女には迷惑をかけてばかりですみません……」
迷惑?何がだろう……あぁ、私の世話が出来ないことを詫びているのか!と納得した私は彼に笑いかけると
「貴女がいなくても私ひとりで身の回りのことは出来るから大丈夫!だから私のことは気にしずに行ってきてちょうだい!」
と言った。
しかし彼はいまいち納得していない様子、と言うより不機嫌顔で「……そうですか、やはり俺はその程度の認識だったんですね」と呟いてため息をこぼし、
「いいですか?俺が心配してるのは貴女をひとりにしても身の回りのことが出来るか、ということではないんです」
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