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 真樹は混乱する。  つい先日、哲郎から惚れているなどと囁かれたばかりだ。  行き過ぎた冗談だと思い込み、平静を保っているが、自分が女を見るように、男から欲望の対象に見られるとなると、冷や汗のような嫌なおぞましさを感じる。  鳥肌が立つ。 「お前はゲイじゃない。哲郎からも笑われた。こんな告白を聞いて、お前は寒気がするだろう。だけど……、たのむ、おれが正気でいられるのはそう長くない。狂ってしまう前に聞いてくれ。おれはお前を愛している」  全てが醜く思えた。  ショウの音に魅せられたことも。  交わるようだったライブの興奮も。  ショウが残していく旋律の余韻も。  何もかもが汚らわしくなった。
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