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聞こえてきた話と、その後の様子に驚愕した三人。
「どうしよう。辰ちゃんが知ったら大変だよ」、お吟の震える声。
「シッ!」、と言って同じく蒼ざめている勝治と佐吉。
三人はそっと庭から撤退した。
同じ頃、天井裏では天井板をずらした隙間から、御庭番の林惣七郎と多和田孫市がウンザリした顔で座敷の二人の痴態を見ていた。
「これでも直参旗本か」、林が苦々しく呟くと、多和田も同意の頷き。
その後で、小料理屋から帰る長内佐兵衛に二人は張り付いた。
長内佐兵衛に張り付いて三日目。
佐兵衛が動いた。
火消屋敷に匿っていた火付け役の臥煙の二人を切れ、と同心に命じたのでる。
「町方に火消屋敷に逃げ込むところを見られたなど、言語道断じゃ。足がつく前に消しておけ」、冷たく命じた。
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