第三章  【赤猫】VS・お吟ちゃん・

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 第三章  【赤猫】VS・お吟ちゃん・

 (町火消し)  大岡越前守忠相は、困り果てていた。  「町人による新たな火消組織を作れ」、と吉宗さまに命じられて、散々な目に遭っている。  資本金無しで、企業を立ち上げるに等しい。  金が無いのだから、変わりに出させる金主が必要。そこで、町名主を集めて、町人地は町火消しとなずけた自衛組織に護らせることにした次第。  町人地は、金持ちが集まっている高級住宅地ばかりじゃない。金に乏しいご町内にとっては、負担も大きく、大問題だった。  「臥煙は雇いたいが、金が無い。如何したら宜しいか。お教え下さりませ」  「仕方が無いのぉ。住人たちで何とかするしかあるまい」  最初は住民で組織したが、そこは素人。 (火の手に恐れをなして、逃げる火消しが続出した)  そんなこんなで紆余曲折の挙句、町火消しの定員を減らして、「プロを雇おう」、と言う事の為った。(プロとは鳶職の事に他ならない)  それが原因で、鳶の親方が町火消しの頭に為ったとか?・  そして左文字組の屋敷がある伊勢町は、やがて一番組の“い組”の受け持ちに為り、左文字組の頭が大岡越前との密約で、格安で町火消しの設立を請け負った?・とか、無かったとか。 『なにせ密約。報道に嗅ぎ付けられては拙い』  其処につけ込んだ秀治とお茂が、大岡越前のお声掛りで、お吟を左文字組の嫁にしようと画策中だった。
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