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貧乏神
彼は今、数十年振りにある一組の夫婦と同じ屋根を共にしていた。
彼の寝床は屋根裏。
蜘蛛の巣が張り巡らされているのはご愛嬌。
彼と共に暮らせば、どれ程愛し合っていようがその夫婦はたちまち貧乏に陥り喧嘩が絶えなくなり最後は別れてしまうという実力の持ち主。
神という名を貰っていながら、昔から万人に存在する事すらも嫌がられている哀れな悪神。
別にこの夫婦に恨みがあって別れさせたいわけではない。
たまたまこの哀れな神の住処にこの夫婦が引っ越してきてしまったのだ。
築年数はそろそろ半世紀を過ぎた頃か。
せっかく廃墟に住んでいるというのにどうなっても知らんからな、と思いながら暇潰しに夫婦の生活を時々覗いては馬鹿めと嘲笑った。
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