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告白
「あれ……? 私は……?」
柊子は、冷たい夜風に頬を撫でられて目を覚ました。
「気がついたかい? 吃驚したよ、急に倒れるから」
まだ意識がはっきりせず柊子がボーっとしていると、柚希の穏やかな声が聞こえた。愛しい人の声で完全に意識が覚醒した柊子は、目の前に柚希の端正な顔があることに気づき、「え!?」と驚いて体を起こそうとした。しかし、
「まだ横になっていたほうがいいよ」
柚希は優しくそう言い、柊子の肩をそっと押して寝かせる。
いま気づいたが、柊子はホテルの正面玄関前の大きな池の近くの芝生で柚希に膝枕をしてもらって寝ているのだ。
柊子は、なぜ自分がこんな状況に陥ってしまっているのか理解できず、どくどくと鼓動が激しくなっていく胸をおさえながら「あ、あの……。私は……?」と呟いた。
「覚えていないのかい? 柊子はパーティーの最中に意識を失ったんだよ。君の様子が変だと思ってずっとそばにいて良かった。あのまま転倒して君の体を支える人間がいなかったら、後頭部を打って怪我をしているところだったからね」
どうやら、気を失った柊子を柚希が助けてくれたらしい。
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