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でも、撫子に幸せになって欲しいという想いは柚希と同じである。
「……サンタクロースのお爺様に、一緒にお祈りしましょう。撫子姉様が幸せになってくれますようにと」
「ああ。……そして、僕はサンタクロースにこうお願いするよ。これからも毎年、この世の誰よりも大切な女の子とクリスマスの夜を一緒に過ごせますようにと……」
「え? それって、私……?」
柊子はどぎまぎしながらたずねた。柚希は微笑みながら頷き、
「僕も奥手だから、君たち女学生が読んでいるような物語の中の恋人みたいになるのはすぐには無理だけれど、これからは君のことを妹扱いしたりはしない。自分の気持ちを偽って大切な人を傷つけるような子供じみたことをして後悔したくないんだ。だから…………」
そう言いながら柊子の唇に自分の唇を近づけた。
(も、もしかして、接吻……!?)
ひぃぃぃと動揺しながらも、柊子は覚悟を決めて口吸いされる瞬間を待つ。しかし、
クシュン! ハクション! ハクション!
やはり外套を脱いでしまって寒かったのだろう。柚希はこの大事なタイミングでくしゃみをしてしまい、口もとを手でおさえながら「わ、悪い……」とバツが悪そうに謝った。
「くす、くすくす……」
「わ、笑うなよ……」
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