48人が本棚に入れています
本棚に追加
「ダンス……始まったみたいですね」
「そうだな。ここで踊ろうか、二人っきりで……」
柊子はニコリと微笑む。
「はい。柚兄様……いいえ、柚希さん。私、あなたを愛しています」
「うん。……僕もだよ。君が、好きだ」
そして、二人は、星々の輝きが水面に煌めく池の前で向かい合い、静かにダンスを踊り出したのである。
初めて知った。
愛する人を想う気持ちはこんなにも温かいのだと。
きっと、恋は不良のすることだなんて古い考えはいつか無くなる。
そうしたら、クリスマスの夜は私たちみたいな恋する男女が、サンタクロースがかけてくれた魔法で、甘く愛し合える奇跡の夜になるだろう。
どうか私たちがこの夜に出会った奇跡が、未来にはありふれた奇跡になってくれていますように。
誰だって恋ができるそんな世の中になっていますように……。
柚希と踊る柊子は、撫子や牡丹の顔を思い浮かべながら、そっと目を閉じてそう祈るのであった。
おしまい
最初のコメントを投稿しよう!