vier

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「お願いします。なちひなを助けて……!」  額を道路のコンクリートに擦り付けて、お願いする。非力な私には、これしか出来ない。 「怖っ。いきなり何? キモいんだけど」 「私たちにお願いして、どうにかなると思ってんの?」 「大丈夫だって。別に殺されたりしないから」  頭上から、安永エレナの冷たい声が降りかかる。 「ユナの時と同じ、学校来なくなるだけだろ」 「居たね、そんなヤツ」 「とにかく、このことは誰にも言うなよ? ブスメガネ」  それだけ言って、嘲笑を含んだ声たちはこの場から遠ざかって行った。  私は土下座を崩して、そのまま倒れた。  どうしようどうしようどうしよう。  どうすればいいどうすればいいどうすればいい?  なちひなが連れ去られてしまった。  警察に行って、いま起きたことを全部話せばいい? 今ならまだ何もされずに済むかもしれない。  でも、安永エレナには言うなよって口止めされた。言ったら、何をされるかわからない。  私も同じ目に遭うかも……。  何を言ってるの私。こんなこと考えてる間にも、なちひながどうにかされてるかもしれないし……。  足が動かない。手が震えて、起き上がれない。  どうしよう。どうすればいい?    助けて誰か……。
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