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「お願いします。なちひなを助けて……!」
額を道路のコンクリートに擦り付けて、お願いする。非力な私には、これしか出来ない。
「怖っ。いきなり何? キモいんだけど」
「私たちにお願いして、どうにかなると思ってんの?」
「大丈夫だって。別に殺されたりしないから」
頭上から、安永エレナの冷たい声が降りかかる。
「ユナの時と同じ、学校来なくなるだけだろ」
「居たね、そんなヤツ」
「とにかく、このことは誰にも言うなよ? ブスメガネ」
それだけ言って、嘲笑を含んだ声たちはこの場から遠ざかって行った。
私は土下座を崩して、そのまま倒れた。
どうしようどうしようどうしよう。
どうすればいいどうすればいいどうすればいい?
なちひなが連れ去られてしまった。
警察に行って、いま起きたことを全部話せばいい? 今ならまだ何もされずに済むかもしれない。
でも、安永エレナには言うなよって口止めされた。言ったら、何をされるかわからない。
私も同じ目に遭うかも……。
何を言ってるの私。こんなこと考えてる間にも、なちひながどうにかされてるかもしれないし……。
足が動かない。手が震えて、起き上がれない。
どうしよう。どうすればいい?
助けて誰か……。
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