運命の取引

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 深夜、王城の中で私は息を殺してターゲットが来るのを今か今かと待ち焦がれていた。  ターゲットはこの国の王子、ゼーラフ エファンゲーリウム。  奴はこの国のガンだ。賢王パラディース様がご病気で臥せてしまわれ、ゼーラフが(まつりごと)を仕切るようになってから我がシュトラール王国の国力はみるみるうちに落ちていった。  度重なる重税、頻発する他国や地方との小競り合い、どんどん上がっていく物価、日々開かれる舞踏会。  しかし、それも今日で最後。例え、みんなに罵られれようと私は私の正義を貫く。 「その暗殺失敗だな」  慌てて振り向くと顔の近くにゼーラフの顔があった。  驚きのあまり大声を上げてしまった。途端に城中が慌ただしくなる。 「ちっ、めんどくせぇな。ちょっとこい」  そういうと私の了解も得ず手を掴み走っていく。  向かった先は張り込んでいた部屋の扉の中。つまり奴の部屋だった。
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