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部屋に入るなり、奴は部屋の鍵を閉めた。
チャンス! 私に背を向けてる今なら殺れる。
そう思った時には逆手に構えていたナイフを順手に持ち替えて奴の喉元へとナイフを持って行った。
それを奴は難なく素手でナイフを掴み奪うと、私の口を手で塞いで逃げられないよう壁に追いやった。
「何をする離せ!」
抗議の声はくぐもり、んやむとしか聞こえない。
「静かにしろ。死にたいのか?」
そういわれると黙ってしまった。するとコンコンと扉を叩く音がした。
「ゼーラフ殿下! 先ほど何者かの奇声が殿下の御部屋付近でありました。何もございませんか?」
「あぁ、私は大丈夫だ。警戒ご苦労!」
「はっ!」
それから扉の向こうの足音が離れていった。
「どうして、私を庇うようなことを?」
「どうしてって俺の思い通りに動く道具が欲しいからかな?」
「下衆な」
私は不敵に笑うこいつを睨んだ。
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