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一応これでも暗殺を生業としてるんだ。腰に隠してる毒針を奴の腹に一突きもすれば奴はヘレの国に逝くこと間違いなしだ。
「なぁ、俺と少し取引しないか」
指先が毒針に後少しで届くところで奴は素っ頓狂なことを言い出した。
正気を疑い顔を上げると不敵な笑みはそのままだがその真っ直ぐな瞳に目が離せなかった。
「俺はここで死ぬわけにはいかないんだ」
そういい奴は塞いだ手をどかした。
「それで私が了解すると思ってるのか?」
「いや、だから取引だ。お前は俺を監視しお前が気に食わない行動をとれば俺の首をはねろ」
「そんなこと言ていいのか。今ここではねるぞ?」
「そうしてみろ。お前は即刻晒し首になるだろう。いや、もっと酷いか?」
知っている。こんな行動に出た同胞の末路はさんざん見てきた。こいつはそれをわかってて言っている。
「わかった。その取引に乗ろう」
「そうか。賢明な判断だ」
そういうと奴はあろうことか私の額に触れる程度のキスをした。
「な、なにをする!」
「ちょっとした縛りだ」
そういい一笑すると奴は私を開放しベッドではなくソファーで寝た。
ナイフを拾い上げ彼のもとに向かった。
そしてそのナイフをそのままホルダーに納めた。
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