運命の取引

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 理由は奴の手のペン豆と目の下の隈、そしてこの疲れきって寝る寝顔。  どことなく亡き父を思い出してしまい、ナイフを向けることが出来なかった。  宗教学者だった父は現代クリステントゥーム教会の不可解な点に気づいてしまったがために断罪の名目で殺された。  そんな父に似てないはずのこいつが被った。  私は黙って1度家に帰ると医療キットを持ってきて、私のナイフを握ってできていた傷を消毒しガーゼと包帯で覆った。 「私の名はお前や玩具ではない。エンゲル アンシュッツそれが私の名だ」  そう呟き、床の絨毯の血の汚れをとって私は壁の隅にいくとそこに座り眠りについた。
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