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時間は3時間前に遡り… とある限界集落に唯一存在する、この寂れた病院にその男はやって来た。 「やぁ、小野原くん!元気だったかい?」 早朝にしつこくインターホンを鳴らされ、妻が半ば苛立ちながらドアを開けると、満面の笑みを浮かべた男がそう快活に叫んだ。彼の顔を見た瞬間、途端に妻の顔が緩む。 「あら、如月くんじゃない!仕事はどうしたの?」 「あっ、まあいろいろあって…小野原くん、じゃなくて仁くんいますか?」 「こんな時間なんだからいるに決まってるじゃない。ちょっと待っててね…って、あら、もう起きたの?」 俺は妻を無視して、しかめっ面でその男を睨んだ。 「如月…早朝にインターホンを何回も押すな!時間を考えてくれよ全く…」 俺が厳しい口調でそう言うと、彼、如月はハッとしてバツの悪そうな顔をして、顔の前で両手を合わせた。 「ごめんよ。君が結婚したことをつい忘れてたんだ。だからつい癖で連打しちゃって…ここは周りに家がないから近所迷惑にもならないし。美香さん、ごめんなさい」 「別にいいのよ」 「何だそれは。俺はどうでもいいのかよ!」 思わず胸倉を掴んで抗議する。けれど如月の能天気な笑顔を見ると、自然と怒りも沈んでいった。
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