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「そうかな、、。運転手さんポジティブですね。私もまたなにか始められるかな、。誰かに会えるかな。」
「誰かにはもう会ってるんじゃないかな。美月。」
はっとして私は顔をあげた。そのとき初めて鏡に映る運転手の顔を見た。暗くてあまりによく見えないが、さらさらの前髪と右目のしたのほくろ。小学校のころ、私が毎日一緒に登下校した男の子だった。驚きと感動のあまりまた涙が出てきてしまった。
「え、、なんで?うそ、、晃太?」
「久しぶり。美月、全然気づかないからちょっと寂しくなっちゃったよ。」
「や、ごめん。だって全然声違ったんだもん。」
小学校の頃の晃太は少ししゃがれた声でもっと高かった。私はどこにいても、どんなに周りがうるさくても晃太の声は聞こえた。なのに全然変わってしまっているものだから私も寂しくなったし、少し不服だった。
「仕方ないでしょ。声変わりなんですから。そんなことでむくれないでください。美月だってメガネやめて雰囲気かわった。」
「うん。コンタクトにして色々がんばったんだー。わからなかったでしょ!」
「すぐわかったよ。小学校の時あんなに目で追ってたんだから。今もあの時のままだよ。」
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